硬水と軟水は身体に与える影響が異なります。
この違いは主に、水に含まれるミネラル（カルシウムとマグネシウム）の量によって生じます。日本の水道水はほとんどが軟水なので、硬水を飲むと体に変化を感じる人もいます。
硬水が身体に与える影響
硬水には、カルシウムとマグネシウムが豊富に含まれています。
- メリット
- 生活習慣病の予防： いくつかの研究では、マグネシウムが心臓病や高血圧のリスクを低減させる可能性が示唆されています。
- 骨の健康： カルシウムを手軽に補給できます。
- 便秘の改善： マグネシウムには、腸の動きを活発にする作用があります。
- デメリット
- 胃腸への負担： 飲み慣れていないと、硬水に含まれるミネラルが原因で一時的にお腹を壊す人もいます。
- 料理への影響： 料理、特に和食の出汁を取る際に硬水を使うと、ミネラルが風味を阻害したり、アクが出やすくなったりすることがあります。
軟水が身体に与える影響
軟水はミネラル含有量が少ないため、硬水とは異なる特徴があります。
- メリット
- 口当たりがまろやか： クセがなく、非常に飲みやすいのが特徴です。
- 料理との相性： 素材の味や風味を邪魔しないため、繊細な出汁を取る和食や炊飯、赤ちゃんのミルク作りに適しています。
まとめ：どちらを選ぶべきか？
硬水と軟水に優劣はなく、どちらが体に良いかは個人の目的や体質によって異なります。
- 健康のために積極的にミネラルを補給したいなら、硬水が有効です。
- 飲みやすさや料理での使いやすさを重視するなら、軟水が適しています。
ただし、水から摂取できるミネラルはあくまで栄養素の一部です。バランスの取れた食事全体で必要な栄養を摂取することが最も重要だということを覚えておきましょう。
ご自身のライフスタイルに合わせて、硬水か軟水かを選んでみてはいかがでしょうか？
この情報の拠所となっているのは、主に以下の公的な機関や科学的な研究報告に基づいています。
1. 世界保健機関（WHO）の報告書
飲料水の硬度と健康に関する研究報告において、硬水に含まれるマグネシウムやカルシウムが、心血管疾患のリスク低減に寄与する可能性について言及されています。WHOは、水のミネラル成分が健康に与える影響を重要視しており、その知見は多くの国で参考にされています。
2. 各国の公衆衛生機関や研究報告
- 心血管疾患との関連: 硬水中のミネラル（特にマグネシウム）が心臓病の予防に役立つ可能性については、世界中の複数の疫学研究で示唆されています。
- 腎臓結石との関連: 硬水と腎臓結石の関連性については、過去に議論されましたが、多くの研究では明確な因果関係は確認されていません。むしろ、マグネシウムには結石の形成を抑制する効果があるという研究もあります。
- 便秘との関連: マグネシウムが腸内で水分を引き寄せる性質を持つことから、便秘改善に役立つという作用は、医学的にも広く知られています。
3. 日本の水道事業者の情報
日本の水道水の硬度については、厚生労働省や各地域の水道局が公表しているデータに基づいています。国内の多くの地域で軟水であることが科学的に確認されています。
ただし、飲料水のミネラルと健康の関係は現在も研究が続けられている分野であり、個人の体質や食生活によって影響は異なります。
👉厚生労働省資料 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000178391.pdf
