
ウォーターサーバーが原因で発生した事故には、主にやけど、火災、水漏れの3種類が報告されています。国民生活センターや消費者庁からも注意喚起が行われており、その多くは使い方やメンテナンスの不備、または製品の経年劣化が原因とされています。
主な事故の種類と原因、そしてその対策についてご説明します。
1. やけど事故
ウォーターサーバーの温水は70℃〜90℃と高温のため、誤って触れてしまうと重度のやけどに繋がる可能性があります。
- 主な原因:
- 子どもの誤操作: 子どもが大人の真似をして温水コックを触ってしまい、お湯が出てしまうケースが最も多く報告されています。チャイルドロックが不十分であったり、子どもがロックを解除できてしまったりすることが原因です。
- 対策:
- チャイルドロックの徹底: ほとんどの機種にチャイルドロック機能がありますが、解除方法が簡単なものもあります。レバーを2段階で操作するタイプなど、より安全性の高い機種を選び、家族全員で使い方を共有しましょう。
- 子どもの手の届かない場所に設置: 子どもが触れないよう、本体の高さや設置場所を考慮することも重要です。
2. 火災事故
ウォーターサーバーの電気系統が原因で火災に至るケースも、数は少ないものの報告されています。
- 主な原因:
- トラッキング現象: コンセントと電源プラグの間にホコリが溜まり、湿気を吸うことで発火する現象です。これはウォーターサーバーに限らず、多くの家電製品で起こり得ます。
- 経年劣化やショート: 長期間の使用による内部配線の劣化や、過度な負荷によるショートが原因となることがあります。
- 対策:
- コンセント周りの定期的な清掃: 定期的に電源プラグを抜き、乾いた布でホコリを拭き取りましょう。
- 延長コードやタコ足配線の使用を避ける: ウォーターサーバーは消費電力が大きいため、電源は壁のコンセントに直接差し込むのが最も安全です。
- 異常を感じたら使用を中止: 焦げ臭いにおいや異音、異常な発熱など、少しでも異変を感じたらすぐに使用を中止し、メーカーに連絡してください。
3. 水漏れ・水濡れ事故
水漏れは、床や周囲の家具を濡らしてしまったり、電気系統のショートの原因になったりする可能性があります。
- 主な原因:
- ボトルの設置不備: ボトル交換時に、本体に正しくセットできていないことが最も多い原因です。特に重いボトルを持ち上げて設置するタイプで起こりやすいです。
- ボトルの破損: 配送中や保管中にボトルに亀裂が入っていたり、ハサミなどで傷つけてしまったりすることがあります。
- 対策:
- ボトル交換手順の確認: 取扱説明書をよく読み、正しい手順でボトルをセットしましょう。
- ボトルの丁寧な取り扱い: ボトルは衝撃を与えたり、尖ったもので傷つけたりしないよう注意して扱ってください。
ウォーターサーバーは、注意点を守って正しく使用すれば、安全で非常に便利な家電です。事故は稀なケースではありますが、「やけど、火災、水漏れ」の3つのリスクを理解し、正しい使い方と定期的なメンテナンスを心がけることが大切です。
消費者庁や経済産業省、NITE(製品評価技術基盤機構)などの報告によると、以下のような事例が確認されています。
- やけど事故:
- NITEの発表によると、2013年度から17年度までの5年間に、ウォーターサーバー関連の乳幼児の事故が16件報告されており、その多くがやけど事故でした。
- これらの事故の多くは、温水コックのチャイルドロックが解除されてしまい、熱湯がかかってしまったケースです。
- 火災事故:
- 2024年1月に消費者庁が公表した重大製品事故の中には、ウォーターサーバーによる火災事故が16件報告されています。
- あるウォーターサーバーの機種においては、過去の事案も含めてオゾン発生器の回路部分(コンデンサー)からの出火が3件発生したという報告があります。
- 水漏れ事故:
- 水漏れ事故の件数について、公的な統計データを見つけることはできませんでした。しかし、多くのメーカーが水漏れ防止機能の向上に努めており、過去には水漏れに関する問い合わせや事例が報告されています。
この記事は、主に以下の公的機関や業界団体が公表している情報や注意喚起を基に作成しています。
- 独立行政法人 国民生活センター
- ウォーターサーバーによる事故に関する具体的な事例や、PIO-NET(全国の消費生活センターに寄せられた相談情報p72.No.48)を基にしています。
- 消費者庁 消費者安全調査委員会(事故調)
- ウォーターサーバーを含む、消費生活に関する製品事故の調査報告書や、ウェブサイトで公開されている事故情報を参考にしています。
- 一般社団法人 日本宅配水&サーバー協会(JDSA)
- ウォーターサーバーの安全基準や、業界全体での事故防止に向けた取り組みに関する情報を参考にしています。
これらのデータは、あくまで公的に報告された一部の事例であり、全ての事故件数を網羅しているわけではありません。