脱水は自覚症状がないまま進行することもあるため、喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけることが重要です。

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脱水は自覚症状がないまま進行することもあるため、喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけることが重要です。

脱水量が人体に与える影響は、体重に対する水分喪失の割合(脱水率)によって、軽度から重度へと段階的に進行します。

脱水が進むにつれて、単なる喉の渇きだけでなく、身体のあらゆる機能に悪影響が及び、生命に関わる危険な状態に陥る可能性があります。

以下に、脱水の段階ごとの身体への影響について、関連する研究や公的機関の情報を交えながら解説します。


脱水症状の段階と身体への影響を表にまとめました

脱水症状の段階と身体への影響を表にまとめました。

脱水の段階体重に対する水分喪失率主な症状身体への影響危険度
1. 軽度の脱水1〜2%喉の渇き、尿量の減少、集中力低下、頭痛、食欲不振認知機能の低下 (集中力、注意散漫、短期記憶に悪影響) 体温調節機能の低下 (熱中症の初期症状につながる)
2. 中等度の脱水3〜5%強い喉の渇き、全身の倦怠感、めまい、吐き気、尿の濃縮、血圧低下心血管系への負担増 (血液ドロドロ、頻脈) 臓器機能の低下 (腎臓などへの血流不足、老廃物排出機能低下)
3. 重度の脱水6%以上意識障害、けいれん、血圧の著しい低下、呼吸困難、腎不全、せん妄脳機能の障害 (意識障害、幻覚、けいれん、認知症様症状) 臓器不全 (全身血流減少、ショック状態) 命に関わるリスク (脳梗塞、心筋梗塞のリスク急増、死に至る可能性)

*提供した情報は一般的な知識に基づくものであり、特定の医療行為や診断、治療を推奨するものではありません。健康に関するご不安やご質問がある場合は、必ず医師や薬剤師などの専門家にご相談いただくようお願いいたします。

脱水症状の段階の表の解説

1. 軽度の脱水(体重の1〜2%の水分喪失)

初期段階では、喉の渇きが最も顕著なサインですが、すでに身体のパフォーマンスは低下し始めています。

  • 主な症状: 喉の渇き、尿量の減少、集中力の低下、頭痛、食欲不振
  • 身体への影響:
    • 認知機能の低下: 複数の研究(例:Nutrients 誌などに掲載された研究)により、軽度な脱水でも集中力、注意散漫、短期記憶に悪影響を及ぼすことが示唆されています。仕事や学習の効率が低下する原因となります。
    • 体温調節機能の低下: 汗をかく量が減ることで、体内の熱をうまく逃がせなくなり、体温が上昇しやすくなります。これが熱中症の初期症状につながります。

2. 中等度の脱水(体重の3〜5%の水分喪失)

この段階では、明らかな身体的な不調が現れ、医療的な対応が必要になることもあります。

  • 主な症状: 強い喉の渇き、全身の倦怠感、めまい、吐き気、尿の色の濃縮、血圧低下
  • 身体への影響:
    • 心血管系への負担: 体内の水分が不足すると、血液の粘度が高まり、いわゆる「血液ドロドロ」の状態になります。心臓は全身に血液を送るために、より強く、より速く拍動する必要があるため、心臓への負担が増加し、脈拍が速くなります(頻脈)。
    • 臓器機能の低下: 血液の循環が悪くなることで、腎臓をはじめとする各臓器への血流が不足し、老廃物の排出機能が低下し始めます。

3. 重度の脱水(体重の6%以上の水分喪失)

この段階に達すると、生命に危険が及ぶ非常に危険な状態であり、緊急の医療処置が必要です。

  • 主な症状: 意識障害、けいれん、血圧の著しい低下、呼吸困難、腎不全、せん妄
  • 身体への影響:
    • 脳機能の障害: 脳への血流が極端に不足し、意識がもうろうとしたり、幻覚やけいれんを引き起こしたりします。高齢者の場合、脱水が原因で認知症のような症状が現れることもあります。
    • 臓器不全: 血圧が低下し、全身の血流が著しく減少することで、臓器の機能が停止し、ショック状態に陥る可能性があります。
    • 命に関わるリスク: 脱水によって血液が濃縮されると、血栓(血の塊)ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが急増します。最悪の場合、死に至ることもあります。

主な情報源

この記事は、以下の公的機関や専門機関が発表している情報を参考にしています。

脱水は自覚症状がないまま進行することもあるため、喉が渇く前にこまめな水分補給を心がけることが重要です。

*提供した情報は一般的な知識に基づくものであり、特定の医療行為や診断、治療を推奨するものではありません。健康に関するご不安やご質問がある場合は、必ず医師や薬剤師などの専門家にご相談いただくようお願いいたします。

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