スーパーの水や飲料が安くなっているのでつい買ってしまいます。その背景は?。

この記事は約4分で読めます。
スーパーの水や飲料が安くなっているのでつい買ってしまいます。その背景はどうなっているのでしょうか。

スーパーなどで販売されている水や飲料が安くなっている背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。主な理由としては、激しい価格競争と、製造・流通コストの削減が挙げられます。

1. 激化する価格競争

  • プライベートブランド(PB)商品の台頭: スーパーやコンビニが自社で開発・販売するPB商品は、製造から販売までをグループ内で完結させることで、中間マージンを大幅に削減できます。これにより、ナショナルブランド(NB)よりも安価な価格設定が可能になり、消費者の節約志向も相まって需要が高まっています。
  • メーカー間の競争: PB商品の価格攻勢に対抗するため、NBメーカーも低価格帯の商品を投入したり、価格改定を抑えたりする傾向にあります。特にミネラルウォーターは、産地やブランドによって価格差があるものの、消費者が最も重視するポイントが「価格」であるため、各社がしのぎを削っています。

2. 製造・流通コストの削減

  • 自社工場での一貫生産: 一部のメーカーは、水源地の近くに自社工場を建設し、採水からペットボトルの製造、ボトリングまでを一貫して行うことで、製造コストを大幅に削減しています。物流コストも抑えられるため、安価な商品の提供が可能になります。
  • ペットボトルの軽量化・リサイクル: ペットボトル自体を軽量化することで、原材料費と輸送コストを削減する取り組みも進んでいます。また、リサイクルされたペットボトル(ボトルtoボトル)の利用も増えており、新たなコスト削減につながっています。

これらの要因が組み合わさることで、私たちはスーパーで安価な飲料を手に入れることができるようになりました。しかし、価格が安いからといって、必ずしも品質が劣るわけではありません。メーカーや流通の努力によって、低価格と品質の両立が実現されています。


3. 流通・サプライチェーンの効率化

飲料メーカーやスーパーは、商品が消費者に届くまでの過程を徹底的に見直しています。

  • 垂直統合: 一部の企業は、水源の確保から、ペットボトルの製造、ボトリング、そして店舗への配送までを自社グループ内で一貫して行っています。これにより、外部に支払う中間マージンや輸送コストを大幅に削減できます。
  • 物流の最適化: AIやデータ分析を活用して、需要予測の精度を高め、無駄な在庫や輸送を減らしています。例えば、天候データを分析して、気温が上がる日に特定の地域の店舗へ飲料を多めに配送するといった戦略がとられています。

4. 環境への配慮とコスト削減の両立

環境問題への意識が高まる中、企業はサステナビリティとコスト削減を同時に進めています。

  • ペットボトルの軽量化: ペットボトルは年々薄く、軽くなっています。これにより、製造に必要なプラスチックの量が減り、原材料コストが削減されます。また、軽くなることで、一度に運べる量が増え、輸送コストも削減できます。
  • リサイクルの推進: 使用済みペットボトルを回収し、再びペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」のリサイクルが進んでいます。これにより、新しい石油由来のプラスチックに依存するコストを減らすことができます。

5. 消費者の購買行動の変化

消費者の賢い購買行動も、価格競争を加速させています。

  • 低価格志向の定着: 長引く景気の停滞や物価高の影響で、多くの消費者が価格に敏感になっています。スーパーは、集客の目玉として飲料を安価に提供することで、他の商品の購買にもつなげようとします。
  • PB(プライベートブランド)への信頼: かつては安価なPB商品に対して品質への不安を持つ人もいましたが、最近では品質の良いPB商品が増え、消費者の信頼を獲得しています。これにより、NB(ナショナルブランド)も価格で対抗せざるを得なくなっています。

これらの要素が複合的に作用し、スーパーの飲料コーナーは、私たちが感じる以上に複雑なコスト削減努力と価格戦略の舞台となっています。

店頭で100円ほどの2Lの水や有名メーカーのお茶や清涼飲料水、そして、500ml1本が60円ほどのPBの水やお茶や炭酸水を見かけると思わず買ってしまいます。